神保町花月「咆号」千秋楽

素晴らしい舞台でした。がっつり吉村崇に惚れ直しました。とにかく「咆哮」する吉村崇がとってもよかった。


ちりばめられたたくさんの台詞の中から印象に残ったもの。『不毛だけど無駄じゃない』
例えば、自分の夢のために周りの人を不幸にする権利なんて誰にもない。みんな夢と現実に折り合いをつけて生きている。周りの人が、自分が、傷つかないように。でもそれを第三幕のサトシさん*1は押し通して俳句への夢を追い続け、結果奥さん*2を死なせてしまう結果となった。サトシさんの行動は身勝手で非生産的で無駄なことだったように思える。しかし、妻が亡くなった後に出てきた一冊の句集。それはたった一冊出したサトシさんの句集で、ボロボロなそれは妻が読み込んだ跡があった。妻は働かずに夢ばかり追う夫のことを非難しながらも、実は尊敬し愛していたのだ。妻は生前弟のアツシ*3に語る。「あの人、たまにハッとするようなかっこいい句を詠むのよ。世界一の俳人なの。」そんな妻がいたことで、サトシさんは才能はないしなかなか売れず不毛ではあるけれど、やっぱり無駄ではなかったのだと知る。……この部分は又吉氏が自分たちと重ね合わせて書いてるんじゃないかなぁとちょっと思いました。10年やってても売れないし、後輩には追い抜かれていく。自分たちのやってることは不毛だけど、でもだからといって無駄ではないのだ…と。
何か一つの台詞だけでも色々なことを考えてしまいますね。アンケートにも書いたんですが、又吉氏が特にこれ言いたいんだろうな…って思われる台詞がいくつかあって、ほんと色々なことを考えさせられる脚本でした。また活字で読んだら違うんだろうなー。
コネタも効いてたんですよー。ラジオのロシモンとか、ピンポンパン体操とか織田さん*4の作品集とか(笑)特にピンポンパン体操なんて頭から離れないもんなぁ。…それにしてもピンポンパン体操に合わせて踊る第四幕のシゲルくん*5はかわいかった…。シゲルくんはとにかくかわいくてかわいくて…普段の吉村氏と全然違うのに素っぽくて、ソファの上でゴロゴロしたりぴょこぴょこしたりする普通の男の子役がひどくかわいかったの。第三幕のノブシコブシで夫婦もすごく良かった*6んだけど、第四幕のシゲルの可愛さったらありません。素敵なものを見ました。
だいじなところ。軍服、『世界は終わりまちた』、オープニング、ゲイ、一角獣、けつ、フォーク、『芸術家にも世界の終わりはやってきまちゅ』カラムーチョ、ネギタン塩、「普通のお嫁さんになりたかった」リメンバー肩ハーバー、顔面七不思議、『夫婦にも世界の終わりはやってきまちゅ』、こどもへのメッセージ、「お父さん、どうしても君に会いたかったんだ」、歌手、プレイバックパート2、サックス、聖、世界の終わり、超ポジティブ的存在、世界は素晴らしい、「我々の叫びが赤ん坊の産声となる」『世界は始まりまちた』
また思い出したら追記します。今の観劇ほやほやのふわふわした感じを忘れたくないなー。余韻にまだ浸っていたいよ。

*1:徳井さん

*2:吉村さん

*3:綾部さん

*4:又吉氏演じる謎のホームレス

*5:吉村さん

*6:空気感と吉村氏の演技力!!